❖伊勢・志摩・紀伊 3国の天保国絵図

天保の志摩国絵図は以下のとおり。 Fig.678: 天保の志摩国絵図 (国立公文書館所蔵)その範囲は現在の志摩半島の先端に限られている。一方、伊勢国絵図は以下のとおりで、志摩国の一部を吸収したことで、その領域はリアス海岸が発達した沿岸に達している。 Fig.679: 天保の伊勢国絵図 (国立公文書館所蔵)紀伊国絵図は以下のとおり。 Fig.680: 天保の紀伊国絵図 (国立公文書館所蔵)あくまでも国絵図における表現ではあるが、縁辺を拡大しただけに見える伊勢国に対して紀伊国のほうが大きく伸長している印象がある。

❖紀州御検地帳・紀伊州検地高目録

慶長16年(1601) 検地に基づき慶長18年(1613) に集計された郷帳の写本。前者は欠落があるといい、実際に本稿で扱った範囲にも欠落・誤りが確認される。前者は『和歌山県史 近世史料1』(1977)、後者は『和歌山県史 近世史料3』(1981)所収、不完全なものを先行させたのは和歌山県立図書館所蔵のためかと思われるが (後者は個人所蔵)、詳しくは不明。

❖紀伊国の元禄郷帳

『角川日本地名大辞典 24 三重県』(1983)、および『同 30 和歌山県』(1985) の各項目には元禄郷帳への言及がある。国立公文書館に現存する元禄郷帳の副本 (写し) 17国分 19冊に紀伊国は含まれないので、角川日本地名大辞典はほかを参照していると判断できるが、どの所蔵によるものかは明示がなくわからない。三重県史・和歌山県史には収録・言及がなく、後者は元禄郷帳について角川日本地名大辞典を参照している。和歌山県立文書館・和歌山県立図書館・三重県立図書館・三重県総合博物館 (公文書館の機能を持つ) のデジタルライブラリー・蔵書検索・刊行された目録類に該当する史料を見出すことができず、横断検索可能な JAPAN SEARCHのほか、本項執筆時点でここに参加していないと思われる東京大学史料編纂所にも見当たらない。